ロッキンf! 復活裏話!?
本日、11月16日、約7年ぶりにロッキンfを復活することができました!
くわしい内容は、こちらから。
商標の問題で、ロッキンfという名をあきらめ、名前をWeROCKに変更して発刊を続けて7年。
この間に、WeROCKも順調に発売してきました。
そんな中、じつは数年前に、ロッキンfという名称の商標を取り戻しており、どのような形で復活させるか検討し続けてきました。
ある時はスマホのアプリで復活させよう、あるいはロクfイヴェントで復活させよう、いや、やっぱり雑誌でしょう……などなど。
ロッキンfを継承して創刊したWeROCKなわけで、その違いを見いだすのが難しいため、雑誌での復活には編集部としても難色を示さざるを得ませんでした。
さらに現在は、音楽、そして雑誌という産業には厳しい時代です。
ロッキンf自体は歴史のある雑誌ですが、今、発売するということは新たに出す音楽雑誌になるわけで、とてもリスキーなのです。
そんな時、今年は、30周年や20周年を迎えるアーティストが多いこと、そして、隔月の偶数月に発売しているWeROCKの隙間である11月に、ラウドネスの記念アイテムが出るという情報を得ました。
ロッキンfを復活させるには、このタイミングしかないだろう。
テーマは、“メタル30年史”。
この30年に、山あり谷ありだった日本のハード・ロック/ヘヴィ・メタルに焦点を絞り、すばらしい歴史を築いてきたアーティストに話を聞いてみようではないか、と。
夏あたりから、発刊するための動きをしてきました。
単純に発刊すると言っても、大人の事情でいろいろなハードルがあります。
残念ながら、雑誌というのもは、出したいからすぐ出せるというものではありません。
もちろん、莫大な費用もかかりますし、書店流通させるためには、さらなるハードルも多くあります。
そして、多くの不安も……。
WeROCKが順調な時に、リスクのある新刊を出す意味があるのか。
懐古的な雑誌になるのは避けたいが、最近のバンドをどう掲載するべきか……。
そして、売れるのか……。
ページ数、値段設定は……。
現在のWeROCKよりも低価格で、さらにページ数も多くして、というのは物理的に不可能でした。
そして、どうしても譲れなかったのは、ロッキンfならではのバンド・スコア。
今回は、『THUNDER IN THE EAST』が復活する。
であれば、すでに購入できない『THUNDER~』の全曲をスコアにしたい。
しかし、ここにも問題が……。
スコアのページが他のページより上回ると、JASRAC料金がとても高額になってしまうのです。
さらに、採譜や浄書の制作費などを考えると、とてもとても高い定価設定になってしまう。
バンド・スコアだけの書籍が、3000~3500円するわけだなと思いました。
そこで作戦を変更して、申し訳ないのですがベースとドラム譜は省略し、ヴォーカル&ギター譜、さらにギターもタブ譜のみにして、1ページに多くの小節が入るようにしました。
これで、ページ数が削減できるため、スコア全体のページ数を減らせると。
そもそも、この作戦でページ数を減らせばJASRAC料金が下がるというのも、ヘンな話ですが……。
そうこう企画を立てていると、けっきょく200ページ近いページ数になってしまいました。
WeROCKの倍近いページ数!
もちろん、合わせて紙代や印刷費、デザインなどの編集費用、制作費もビックリです……。
2500円にしても、売れなかったら大赤字、売れてもトントンかもしれない。
でも、2500円の音楽雑誌って、どうなのだろうか……。
もう、この1冊は、儲けうんぬんよりも、ロッキンfの健在ぶり、そして日本ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの歴史を作り上げてきたアーティストのすばらしさを残せればいいかと。
と言いつつ、ビジネスだから、そんなことはキレイごとで売れても赤字というのはもちろんNG。
そこで、ギリギリに算出したのが2000円という定価でした。
譜面を付けなければ、もっと安くなります。
紙質を安いものにすれば、もっと安くなります。
DVDを付けなければ、さらに安くなります。
広告をバンバン入れられれば、定価を下げることも可能でしょう。
しかし、編集部が出した結論が今回のロッキンfです。
昨今、音楽自体の価値が下がってきているような気がしてなりません。
若い世代の中には、「音楽は無料」という意識もあるようです。
でも、音楽を作るのは、とてつもない労力と時間、そして費用もかかります。
アーティストは、知恵を振り絞り、みずからの骨身を削って活動していると言っても過言ではないのです。
そんな音楽は、もっと高価であってしかるべきだと思うのです。
3000円のCDが高いと言われる時代ですが、アーティストもレコード会社もギリギリにやっている価格なのです。
そして、それに関わる音楽雑誌も同じです。
バブル時代のように、高い料金の広告が入るわけではありません。
すなわち、安い定価でご提供できないのが実情です。
1ヵ月の携帯代に数万円を払う若者が、数ヵ月かかって制作したCDや楽曲、そして音楽雑誌が高いと言います。
音楽や雑誌が、それほどの価値しかないと言うのであれば、何も言うことはできません。
しかし、もし、今回のロッキンfを購入して頂き、その価値をご理解頂いているみなさんがいるのならば、音楽に携わっている人間として、そんな幸せはありません。
ここはゴールではなく、新たなスタートなのです。
まだまだ至らない部分のある編集部ですが、ここから、少しでも日本のハード・ロック/ヘヴィ・メタルが盛り上がれる力になれればと思っております。
じつは、ロッキンfの復活が決まった時、音楽評論家の伊藤政則さんとお話をさせて頂く機会がありました。
伊藤さんは、「せっかく復活させるなら、ただ発売するだけじゃもったいないよ。“現象”にしなきゃ」とありがたい言葉を言ってくれました。
実際、編集部として、どのような形で“現象”にすればいいかわかりませんでしたが、WeROCKの誌面やネットで“復活”の告知をさせて頂くと、どうでしょう。
それが話題となり、ネットはもちろんのこと、書店やレコード店、楽器店、そして読者のみなさまから、暖かい反応があり、いつのまにかにひとつの“現象”となっているではないですか。
みんなが待っていてくれたんだなという実感とともに、より身が引き締まる思いでした。
ここで改めて御礼を言わせてください。
今回のロッキンf復活に関わって頂いたアーティストの方々、楽器メーカーの方々、関係者のみなさま、そして何よりも手に取って頂いた読者のみなさんに、心より感謝いたします。
WeROCK/ロッキンf編集部
P.S. WeROCKがロッキンfに戻ると思われている方もいらっしゃるようですが、WeROCKはWeROCKですよ!
次号は、12月14日発売で、記念すべき通算50号です!!